何度でも見たくなる作品や、再生数が全く伸びていないような「隠れたお宝」を発掘するためにネットを巡回する私。
その【発掘シリーズ】も第3段。
今回は、サクッと観られる夏のノスタルジー作品の1つを紹介したい。
ジャンルとしては「自主制作アニメ」
あらすじ
ストーリー:
ある日倫太郎は、父が大切にしていた木の葉化石を割ってしまう。
それを言い出せないまま、後ろめたい気持ちを抱えていつもの河原で
化石を掘っていると見知らぬ少年、トシに出会った...
記憶の堆積した地層と、二人の少年が織りなす、ひと夏の小さなファンタジー。
+ + + + +
2014年完成。武蔵野美術大学の卒業制作として制作しました。
自分の4年間の集大成を作るのに奮闘した半年間でした。
監督・谷田部透湖
概要欄より引用。
卒業制作として作られた作品。
この作品の魅力:3つ
夏の懐かしさを感じる背景
少年の夏が舞台であるため、夏休みのあの独特な感覚がやはりある。
ピンとこない人には、「サマーウォーズ」を観たときのようなあの感覚だと伝えればいいだろうか。
心がその懐かしさから、少しキュンと縮みこむようなノスタルジックな感覚だ。
特に古生層の画や夏の入道雲のカットは著しく、一枚の絵として切り取っても何の遜色もない。
むしろ気合いを入れ、楽しんで制作したのだろうなと伝わってくる。
人物描写
野生のジ〇リ。
多少ネタバレになるが、「鼻をこする仕草」や「『バウムクーヘンみたいな古生層』というセリフ」などに、トシと倫太郎の父の関係性について上手く視聴者への暗示がある。
この暗示は重要で、倫太郎を中心とした夏の友情関係と親子関係を描くのに不可欠な要素であるからだ。
なんとなく流し見したら画のクオリティにしか気付かないが、よく観てくれる殆どの人が気付くような、いい塩梅の暗示は、お見事だと思う。
ストーリー構成
タイトルの「木の葉化石の夏」通り、木の葉化石が発掘されてから割れてしまうまでの経過を追うと、この作品のストーリーが掴めるのではないかな?
ひと夏の思い出として、少年同士の友情と親子の友情の片鱗が、11分のアニメ作品にうまいこと纏められたストーリーとなっている。
谷田部透湖とは何者か
作品についての感想は観た人それぞれに十人十色で存在するから、この「谷田部透湖」という人物を最後に紹介したい。
→アニメの世界で活躍している、有名人だ。
「おそ松さん」「三者三葉」「ゲゲゲの鬼太郎」「SSSS.GRIDMAN」などと関わりがあり、アニメーター・コンテ演出なんかをしている。
さらに、この作品に対する武蔵美の担当教員のコメントも発掘したらあったのでここにも記しておきたい。
化石探しが好きな少年が、ある夏不思議な少年に出会う物語。見慣れたアニメーション作品に見えますが、作者自身が長年にわたって習作(練習)を重ねた課程の線であり表情であり動きが隙なく構成されています。少年期に体験する友との交友・不和・罪悪感などナイーブな感覚を丁寧な作画と感情表現によって完成度の高い作品に仕上がっています。
[担当教員:石茂雄]*1
優秀作品に選ばれていますやん。
さいごに
こういうノスタルジック系に私は弱いので、ついつい好みの画像や動画を探してしまう。
その過程で出会った、なにかの巡り合わせのアニメ作品がコレ。
このブログがきっかけで「木の葉化石の夏」を観てもらえたら、また新たな巡り合わせが生まれて、この記事を書いた甲斐があるというものだ。
そういえば、谷田部透湖さんが「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」にクレジットに載っていました。
「ええー!木の葉化石の人、エヴァにいる!」ってひとりで驚いていました。
有名な方なのですね。